2025  4月 | 札幌市北区の動物病院 マリモアニマルクリニック

病気についての話

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ウサギの肝葉捻転(注:手術画像あり)

もしかしたらあまり聞き馴染みのない病気かもしれないのですが、今回はうさぎの肝葉捻転という病気について解説します。

<肝葉捻転ってどんな病気?>

肝葉捻転とは、肝臓の一部である「肝葉」がねじれてしまう病気です 。

肝臓はいくつかの異なる葉で構成されており、このうちのいずれかの葉が軸を中心にねじれることで、その部分への血液の供給が遮断されてしまいます 。血液が流れなくなると、その部分の肝細胞は死滅し始め、肝酵素が血液中に放出されます 。

進行すると、ショック状態に陥り、最悪の場合には命を落とすこともあります 。

ウサギでは比較的まれな病気とされていますが、近年、診断されるケースが少しづつ増えているようです 。

<主な原因とリスク因子>

ウサギの肝葉捻転の正確な原因は、まだ完全には解明されていません 。

しかし、いくつかの要因が発症のリスクを高める可能性が指摘されています。

まず肝臓を支える靭帯の構造的な問題などが関係しており、例えばうっ滞による胃の拡張などで、肝葉を圧迫したりその位置が移動し、捻転が起こるパターン、これが最もよく見られるパターンかと思います。他には肝臓自体の病気(腫瘍など)も、肝葉捻転のリスクを高める要因となる可能性があります 。

品種による好発性もあり、特にロップ系のウサギで多く見られる傾向があります 。

<症状と診断法>

肝葉捻転の症状は、他の病気と似ている場合が多く、特に食欲不振や元気消失といった症状は、ウサギによく見られる消化器うっ滞と類似しています 。そのため、早期発見が難しいことがあります。

この病気を診断するために、必要な検査をおこなっていきますが、その中でも血液検査と特に画像診断が特に重要です。

血液検査では、通常顕著な肝酵素の上昇が見られます 。

なお、ウサギは肝酵素の活性が非常に低く、肝臓に異常があっても上昇しにくいため、顕著な肝酵素の上昇がみられた場合はこの病気の存在を疑う必要性があります。

肝臓の捻転部位からの出血がおこっている様な場合では貧血の所見がみられたり、2次的な腎機能の低下所見も見られる場合があります。

画像診断では、レントゲン検査で肝臓の腫大や肝臓周囲の不明瞭化が見られることがありますが、決め手となる検査所見とはなりません 。

最も有効な診断方法は、超音波検査です 。超音波検査では、ねじれた肝葉の腫大など形態の変化、内部の異常なエコー像、そしてカラードップラーにて血流欠損を確認することができます 。CT検査も診断に有用な場合があります 。

<外科治療と内科治療>

肝葉捻転の主な治療法は、外科手術による捻転をおこした肝葉の切除です 。貧血などの麻酔にとって重大な負の合併症が起こる前に早期に手術を行うことが最も確実で良好な予後につながります 。

すでに他の重大な基礎疾患があったりして麻酔のリスクが懸念される場合や、飼い主さんの意向により手術を選択しない場合には、内科的治療が試みられることもあります 。

内科的治療では、栄養補助、補液、鎮痛剤の投与など、消化管うっ滞に対する治療と大差はありません。

内科的治療でもある程度の生存率が得られることがありますが、外科手術と比較して長期的な生存率や生活の質は低い傾向にあります 。また、消化器うっ滞が再発しやすいという報告もあります 。

<予防策は?>

肝葉捻転の正確な原因が不明なため、明確な予防策はありません 。しかし、うさぎにとっての最適な食事管理やうさぎの本能を満たすストレスの少ない生活、適度な運動など一般的な健康管理を徹底することで、リスクを減らすことができるかもしれません。

当院で行った肝葉捻転のうさぎさんの超音波検査と手術の画像です。胃の切開も同時に行ったため回復にやや時間がかかりましたが、今ではすっかり元気になり本当に嬉しく思います。