2023  10月 | 札幌市北区の動物病院 マリモアニマルクリニック

病気についての話

猫の飲水量を増やすには

水分摂取量を増加させることは、猫の下部尿路疾患を予防する上で重要な要素の一つとなります。

水入れをいろいろな場所に複数設置したり、容器を陶器やガラスのものに変えてみたりということは最低限試してみるのをお勧めします。

猫の場合、難しい場合も多いのですが、ウェットフードに切り替えてみるというのも非常に有効です。

またすべてウェットフードに切り替えなくても、ドライフードに加えてウェットフードをごく少量加えてあげるのもお勧めです。

しかしながらドライフードの好きな猫は少しでもフードが湿ってしうまうと食べなくなる猫も多く、そのような場合にはドライはドライの器、ウェットはウェットの器で別々で与えてみてください。

ちなみに自分の猫の場合は、先にドライを与え食べ終わって、少し時間が経ってから次にウェットを与えています。

ウェットフードを与える際に、一つコツがあるので紹介します。

画像のように、器の中心部に円錐形(ピラミッドのような感じに)にフードを盛り付けます。その周囲に池を作るようなイメージで水を入れて与えてみてください。

水の量が多すぎると食べなくなるので、試行錯誤してうまく食べてくれる量を探してみてください。

画像は、結石による尿管閉塞による水腎症を呈した猫の超音波画像になります。

猫の尿管は非常に細く非常に小さな結石でも閉塞を起こしやすいのですが、片側の尿管閉塞のみではもう片方の腎臓が正常であれば血液検査でも腎臓の数値は上昇しないため注意が必要です。

尿管が詰まると確実に痛いのですが、猫は痛みを隠す傾向がありその個体によってはほぼ無症状に近い場合さえあるので飼い主さんが症状に気づかず知らない間に腎臓がかなり悪化している場合もよくみられます。

そのような猫でも、やや元気がないなどの症状は見られるはずなので、少しでもいつもと違うように感じられましたら、病院での診察をお勧めしています。水分摂取量を増加させることは、尿管結石を予防するためにも非常に重要なのでできることから始めてみてください。

モルモット

モルモットの不正咬合について

モルモットもウサギと同じく歯の病気がよく起こります。

歯の数は切歯臼歯合わせて合計20本、全ての歯が一生伸び続ける常生歯となっています。

草を食べて頻繁に上下の臼歯を擦り合わせることで、適切な歯の咬合を保っています。

不正咬合の多くは、牧草の摂取量が不足し咬む回数が減少することで発生しますが、それ以外にもビタミンC不足や、加齢によって発生しやすくなります。

モルモットの口腔には下記の3つの重要な特徴があります。

1、臼歯が斜めに傾いて生えている。

2、舌が奥から2/3の部分が固定されていて、動かすことができるのは先端部分のみ。

舌の奥の方には舌根隆起と呼ばれる盛り上がった部位があり、そこに舌の先端から食べ物が送られさらに歯の咬合面に食べ物を移動させ咀嚼する。

そして口の中に水を含み咀嚼物と混ぜながら嚥下する。

3、顎関節が前後方向にレール状にタイトにかみ合っていて、横方向に動かすことができない。

咬む回数が減ることによって、次第に臼歯が伸びてきます。

それでも伸びた状態のままなんとか食べようとし無理やり咬み合わせるため下顎臼歯は内側(舌側)に倒れてきます。

時間が経過するとますます臼歯の先端は上顎と噛み合わなくなりどんどん内側に向かって伸びることとなります。

そして左右の下顎臼歯が画像のようにほぼくっついた状態(画像)になると、その下にある舌が固定されてしまうことで繊細な細かい動きができない状態となり、食べ物を口の奥に運ぶことが困難な状態となってしまうのです。

この場合の治療としては、舌の上に橋のように伸びてしまった臼歯を削る処置を行います。

2枚目が処置後の画像です。

まだ初期の段階であれば、定期的な臼歯を削る処置でうまくいくことも多いのですが、かなり時間が経ち慢性化してしまった場合には歯を削っても残念ながら食べることができない場合があります。

その原因として、、

かなり歯が水平に近く倒れてしまっている場合には削っても歯の側面で噛み合うこととなり硬いものを咬むのが困難となります。

2つ目の原因としては、顎関節が脱臼してしまっているということ。

なぜ脱臼するのかというと上と下の臼歯が伸びすぎたことによって口が半開きの状態になることで顎関節が浮き上がるようになり結果脱臼が起こります。

この場合そもそも顎を動かせなくなるので咀嚼が困難となります。

また、モルモットでは歯根に感染が起こることが割と多く、そのように歯そのものに痛みがあっても削っただけでは症状が改善しません。

かなり慢性化してくると上記の問題が併発してくる可能性が高くなりますので、予防のためにも比較的若いうちから健診を受けられることをお勧めします。

食餌の注意点やちょっとしたコツ、病気を予防するために家でできることなどお話しさせていただきます。