2024  1月 | 札幌市北区の動物病院 マリモアニマルクリニック

病気についての話

雪解けの時期の異物誤飲!?(手術画像あり。苦手な方はご遠慮ください)

今回は犬の異物誤飲についてのお話です。

雪国である北海道ならではなのですが、雪どけの時期は特に誤飲による腸閉塞に注意が必要です。冬の間に地面に捨てられたものが雪が溶け表面に出てくるのでついついそれを食べてしまうんですね。

しかも落ちた食べ物に関しては、気温が低い北海道では天然の冷凍庫の中に入っていたようなもの。

本人にとってはまだ十分に食欲をそそる匂いになっているのかもしれないですね。

もし何か食べたかもしれない!!と言った場合にはたとえ何も症状がなかったとしても、できるだけ早い段階での来院をお勧めしています。

食べてしまったものは、次の4パターンの経過をとります。

1、自分で嘔吐して口から排出(ラッキー!)

2、胃内にとどまる

3、胃から小腸へ流れ途中で閉塞(この場合は手術。。)

4、なんとか肛門から排泄(ちょっと危なかったけど。。)

異物を飲み込んでも、まだ異物が胃のなかにある状態であれば、催吐処置や、内視鏡での異物除去などの負担の少ない方法を取ることができます。異物の誤飲は、ある意味時間勝負となります。飲んでから時間が経過した場合には、残念ながら胃を通過してしまう場合もあるため、その場合吐かせる処置が行えないんですね。

朝、誤飲に気づいた場合は夕方よりもその日の午前の間、病院のやっていない夜に気づいた場合は翌日の朝に来院するよりもその日のうちに夜間動物病院に行っていただくのがベストとなります。もし様子を見てしまい時間が経過し異物が小腸に入ってしまったと考えられる場合は、そのまま便から排泄されるか、どこかで閉塞して手術かのどちらかとなります。

なお胃のなかに長期間とどまり慢性の嘔吐を示す場合や、胃の中で何日も経過してから小腸へ降りてくるケースもあります。

画像は、雪解けの時期に散歩中に異物を誤飲してしまい、結果小腸閉塞により手術となった子の手術画像です。写真でもわかるようにひも状の異物(おそらくマスクのゴム)が小腸の数カ所に引っかかっておりアコーディオン状を呈していました。腸を傷つけないように異物を取り出すため2箇所切開しています。

この子の場合は、腸のダメージが少なかったので良かったのですが、組織の傷みがひどい場合はそのまま切開縫合しても後で離開することとなるため、腸を切除することもあります。

いずれにしても手術は避けるに越したことはないです。

まだ雪解けの時期はもう少し先ですが、散歩中は十分に気をつけてくださいね。