ウサギの画像検査について | 札幌市北区新川の動物病院|マリモアニマルクリニック

病気についての話

ウサギの画像検査について

ウサギの場合、犬や猫と比べて血液検査上の異常はかなり病気が本格的に悪くなってこないと現れづらいという特徴があることから、画像検査を組み合わせると異常が見つかることがよくあります。

画像検査には、X線検査、超音波検査、CT、MRIなどがありますが、ここでは最も身近な検査であるX線検査と超音波検査について紹介します。

『レントゲン検査と超音波検査各々の特徴について』

まず前提として強調しておきたいのは、レントゲンにしても超音波検査にしても確定診断をつけるための検査ではないということです。

レントゲン検査ではあくまでもその臓器の写り方(例えばレントゲンでは大きさ、形、濃さとか、その位置や数など)を客観的にみていきます。

ただそれがあるのかないのか、形がどうなっているのかとか、診断の材料にするために評価を行います。

レントゲン検査には他の検査にはない明確な特徴があります。

1枚の画像にその照射領域にある臓器を全て重ねた状態で映し出すという点です。

いわゆる影絵のようなものですね。

1枚の画像において非常に広範囲の領域が確認できると言うのは、レントゲンの優れた点でもあります。

一方で、超音波検査では、臓器の内部構造の詳細な評価やまた動きを評価する事ができます。

ここ数年の間に超音波検査機器の画質は格段に上がってきており、特に獣医学領域では、人と比べて動物の体自体が小さいため非常に浅い深さで走査でき、高周波のプローブが使えるため、かなり解像度の高い画質で検査を行う事ができます。

レントゲンと超音波検査はお互いを補い合うような関係性を持っています。

例えば、超音波検査では骨やガスがあるとでその向こう側(奥)の組織が見えなくなってしまう現象があるのですが、反対にレントゲン検査ではそのような事がなく、骨や空気は綺麗に映し出してくれます。

超音波検査では、その臓器の内部構造を高解像度で描出でき、また動きも評価できますが、レントゲン検査では逆にそこが不得意な点となっています。

そのため、レントゲン検査と超音波検査を組み合わせて行うのが非常に有効です。

『うさぎにおいて画像診断が有効な注意すべき疾患など』

1、尿路結石

ウサギでは、カルシウム系の尿石が多発します。ウサギのカルシウムの代謝は非常に独特で、ホルモンを介した血中のカルシウムを調節するフィードバック機構が働かず、フードからのカルシウム摂取量に比例し、また尿への排泄量が非常に多い(一般的な哺乳類2%,ウサギ45~60%)のが特徴です。

カルシウムをたくさん摂取すればするほど、尿へたくさん排出されるため結石が形成されやすくなります。他に考えるべき原因としては、水分の摂取量不足、運動不足が挙げられます。

しかし、いきなりポンと急激に石が形成されるわけではありません。

結石になる前段階のカルシウム尿症(砂が膀胱内にたまる状態、レントゲン画像)の状態から、時間を経て結石の核が形成され様々な要因により少しづつ石が大きくなっていきます。カルシウムの成分そのものが、尿路粘膜の刺激物となるため膀胱炎が発生します。

カルシウム尿症の段階の症状としては、頻尿や排尿時のいきみ、血尿などがありますが、異常に気づかれないこともしばしばです。

結石が形成されてしまった段階では、治療としては手術を行う形となるため、できるだけ結石ができる前の段階で異常を見つけてあげたいところです。

カルシウム尿症の段階で見つけ適切に対処ができれば、多くの場合で手術を回避することが可能となります。

2、子宮疾患

不妊手術を実施していないメスのうさぎでは、子宮疾患が多発します。

年齢を重ねるごとに増加し、4〜5歳以上では60~80%の発生率と言われています。

子宮疾患には、子宮内膜過形成、子宮腺癌、平滑筋腫、平滑筋肉腫、子宮内膜炎、子宮蓄膿症、子宮水腫などの病気があります。

この中でも比較的遭遇頻度の高い内膜過形成や腺癌では進行すると子宮の内部に静脈のコブ(静脈瘤)が形成され、陰部からの大量出血を起こしたり、子宮腺癌では肺や肝臓や脾臓などの腹腔内臓器への転移が生じる場合があり、手術を行うにしても、貧血が起こるほどの大量出血や腫瘍の転移が生じる前の段階で手術を行いたいところです。

3、循環器疾患

うさぎでも様々な心疾患が起こるのですが、病気になっていきなり心不全となり死亡するわけではなく、非常に長い無症状の期間を経てから発症します。

しかし一度心不全が起こり呼吸困難などの症状が起こった場合は、非常に急性の経過をとり死亡しやすいという傾向があります。その理由として、うさぎは胸腔が小さいため胸水や肺水腫が生じた場合症状が重度となりやすい、心臓組織自体に血液を供給している冠動脈が未発達であり心筋の虚血が起こりやすい、またストレス反応による急激な血管反射により血圧の乱高下が起こりやすいなどが挙げられます。

正直なところ、ひとたび重度の呼吸困難の状態に陥ってしまうと、触るだけで奇声を上げてなくなってしまうことも決して珍しいことではありません。呼吸困難を生じた状態での検査には少なからずリスクを伴います。

治療するためには、原因を調べるために検査をしなければいけないけれど、その検査を行うことでもしかしたら死亡してしまうかもしれない、かといって原因がわからないと治療につながらない、、と診断治療に苦慮する場合がうさぎにおいては特に多く見られます。

心臓病に関してもできるだけ無症状の段階で診断し、必要な投薬を行う事で多くの場合普通に生活できる期間を長くすることができます。

特に心疾患の診断には超音波検査が欠かす事ができません。

4、肝疾患

いくつかの肝臓の疾患がありますが、かなりのウサギが罹患していると考えられている代表的な疾患として押さえておかないといけないのが肝リピドーシス(脂肪肝)です。

原因としては、肥満、そして様々な疾患(例;うっ滞や不正咬合など)による食欲不振で長期間または頻繁な絶食により肝臓に脂肪が沈着することで起こります。

進行して重度となると食欲不振や呼吸状態の悪化などが起こり最終的には死にいたる事もあります。

血液検査も行いますが、うさぎではある程度進行してこないと肝酵素は上昇してきません。

それ以外の血液検査上の異常としては、中性脂肪の高値、奇形赤血球の出現や貧血などがあります。

血液検査で肝酵素が上昇していなくても、画像検査により肝臓の異常が見つかることも実はよくあったりします。

また肝リピドーシスを罹患しているうさぎでは、その他の基礎疾患(不正咬合、慢性の消化器疾患など)を同時に持っているケースが多く、生活習慣なども関係してくるため飼育指導なども同時に行なっていきます。