モルモットもウサギと同じく歯の病気がよく起こります。
歯の数は切歯臼歯合わせて合計20本、全ての歯が一生伸び続ける常生歯となっています。
草を食べて頻繁に上下の臼歯を擦り合わせることで、適切な歯の咬合を保っています。
不正咬合の多くは、牧草の摂取量が不足し咬む回数が減少することで発生しますが、それ以外にもビタミンC不足や、加齢によって発生しやすくなります。
モルモットの口腔には下記の3つの重要な特徴があります。
1、臼歯が斜めに傾いて生えている。
2、舌が奥から2/3の部分が固定されていて、動かすことができるのは先端部分のみ。
舌の奥の方には舌根隆起と呼ばれる盛り上がった部位があり、そこに舌の先端から食べ物が送られさらに歯の咬合面に食べ物を移動させ咀嚼する。
そして口の中に水を含み咀嚼物と混ぜながら嚥下する。
3、顎関節が前後方向にレール状にタイトにかみ合っていて、横方向に動かすことができない。
咬む回数が減ることによって、次第に臼歯が伸びてきます。
それでも伸びた状態のままなんとか食べようとし無理やり咬み合わせるため下顎臼歯は内側(舌側)に倒れてきます。
時間が経過するとますます臼歯の先端は上顎と噛み合わなくなりどんどん内側に向かって伸びることとなります。
そして左右の下顎臼歯が画像のようにほぼくっついた状態(画像)になると、その下にある舌が固定されてしまうことで繊細な細かい動きができない状態となり、食べ物を口の奥に運ぶことが困難な状態となってしまうのです。
この場合の治療としては、舌の上に橋のように伸びてしまった臼歯を削る処置を行います。
2枚目が処置後の画像です。
まだ初期の段階であれば、定期的な臼歯を削る処置でうまくいくことも多いのですが、かなり時間が経ち慢性化してしまった場合には歯を削っても残念ながら食べることができない場合があります。
その原因として、、
かなり歯が水平に近く倒れてしまっている場合には削っても歯の側面で噛み合うこととなり硬いものを咬むのが困難となります。
2つ目の原因としては、顎関節が脱臼してしまっているということ。
なぜ脱臼するのかというと上と下の臼歯が伸びすぎたことによって口が半開きの状態になることで顎関節が浮き上がるようになり結果脱臼が起こります。
この場合そもそも顎を動かせなくなるので咀嚼が困難となります。
また、モルモットでは歯根に感染が起こることが割と多く、そのように歯そのものに痛みがあっても削っただけでは症状が改善しません。
かなり慢性化してくると上記の問題が併発してくる可能性が高くなりますので、予防のためにも比較的若いうちから健診を受けられることをお勧めします。
食餌の注意点やちょっとしたコツ、病気を予防するために家でできることなどお話しさせていただきます。